彼女は画面の前で呟いただけでした。

 《内緒モード》はあまり意味がありませんでした。

 それからキーボードを少しだけ前に押して空間を作ると、そこに腕を置いて突っ伏してしまいました。



 雪紫さん、雪紫さん。



 私は画面上に文字は出さず、ただ聞こえるはずのない声で呼び掛けることしか出来ませんでした。

 その状態のまま暫く過ぎたころ、彼女がぽつりと呟きました。


「ハルマキ、どうして貴方はハルマキなのか、知ってる…?」


 くぐもった声が、震えていました。