最近は日が長くなって、この時間でもまだ明るい空。


あたしは普段よりも念入りの化粧と髪型で、ミナミに向かっていた。


そう、あれから翼は店長に電話をしてくれた。


そして昨日の今日で、さっそく体験入店する事が決まった。


今日は土曜日。


平日よりも稼げると言う店長の言葉、そしてあたし自身も都合が良かった。


もし間を空けてしまえば、気持ちが揺らぎそうだったから。


お金はどうしても、来週には必要なんだから。


地下鉄を降り、地上へ出ると、翼に連絡をする。


7時開店の1時間前、あたしは面接を受ける事が決まっていた。


とは言っても、簡単な用紙に必要事項を書き込むだけで、面接というほどのものではないと、翼は言っていた。


それでも数時間後の事を想像すると、やっぱり不安になる。


「未来ちゃん!」


待ち合わせ場所に現れた翼は、学校で見るよりも派手で、でも綺麗だった。


「よし、行こう」


翼の後について歩く。


「ここだよ」


哲平の店からそう遠くはない1軒のビルの前で、翼は立ち止まった。