『だぁーから、いつまで泣いてんだよ、さっさと泣き止めよ。』


さっきから私の目の前で尊大な態度を取っているこの男。


『アイツに失恋したぐらいでメソメソ泣くな、大体こうなる事は初めっから分かってた事だろうが。』


失恋したての私の心の傷口に、ぐりぐりと遠慮無く塩を塗り付けて来るこの男。


『あのなぁ、お前がそんなにメソメソ泣く程、秋津はそんなに良い男かよ?』


鼻で笑うように、嘲るように、腕を組み、長い脚をクロスさせて、精悍な顔を歪ませて呆れたような眼差しを向けて来る。


目の前の、この傲慢で不遜で尊大な男は、私の幼なじみだ。


「グスッ、しっ仕方ないでしょっ。5年も片思いしてたんだから。」


そう、私は大学3年の時から25歳に至る現在まで、大学の同級生である秋津誠(アキツマコト)君に5年間も片思いをしていたのだ。