−昼休み−
あれからずっと彼女を視界の隅に入れて見ていたけど、彼女はほとんど窓の外を眺めたままだ。
授業中もうわの空で、聞いているのか聞いていないのか分からない。
「何か気になるの??」
「あ……うん。まぁ……。」
昼休みになって、隣の席の女の子が声をかけてきた。
「あ、私 水城沙耶(ミズシロサヤ)。よろしく。」
「よろしく。」
「で?さっきから何を気にしてるの?」
どうやら彼女は、だいぶ洞察力がいいらしい。
「ねぇ、あの子っていつもあんな感じなの?」
僕は視線をはっきり窓際に向けて問いかけた。
「……あー。染羅木さんね。うん。いつも、あんなふうに外見てるのよ。」
染羅木……。
「あの子……名前は?」
確かに監視するように命令されたけど 名前は教えられなかった。
行けば分かるって言われただけだったし。
僕達も、昔の彼女の名前は覚えてるけど、今は名前も違ってるはずだし。