窓の外をぼんやりと一人で見つめる少女。

空は青く、少女の暗い心のことなど知るかというように清々しく輝く。

「あぁ、世界なんて、もういらないよ。」
にっこり笑った少女は、つぶやいた。
心の底から笑っていたわけではない。
誰が見てもそう思うほど、目が笑っていなかった。

少女、園崎瑠奈(ソノザキルナ)は、とても可愛らしい笑顔の持ち主だ。

だが、その笑顔に心がこもっていなかった。
 
瑠奈は、あの日から本物の笑顔を忘れたのだ。

「あなたのこと、大嫌いだよ。」

あの日こう口走ってしまったそのときから。
いつもの笑顔でこういってしまった瑠奈だったが、
瑠奈は、彼、夏村咲也(ナツムラサクヤ)のことを嫌ってなどいなかった。

好き。

そんな純粋な言葉だけでしか表せないほど彼を思っていた。

「嫌い」は、咲也のことを好きだからこそ言ってしまった…

  、、、
否、言ったのだ。

瑠奈は、嫌いといったことを後悔はしていない・・・

はずだった。