――――ひた



鎌の刃が首に当たっているのだと気付いたのは、部屋の隅にいた筈の死神が目の前にいる事に気付くより後だった。

怖い
怖い
怖い
怖い
怖い

息の仕方がわからなくなる。

今までどうやって立っていたのかわからなくなる。



「死ねないなら、嫌でも生きるしかないでしょう」

「死ねないから殺してくれと言ってるんじゃないか!」

どうして涙が、とまらない。

「この世には死にたくても死ねない人もいるのに、あとたったの二十四時間であの世へ逝ける貴方は、そういった意味では幸せ者なのよ」

首から刃が離された。

「死に急ぐ必要はないわ。一度死んだ人間は生き返らないけれど、死ぬのはいつだってできるもの」

「でも結局、あと一日経ったら死ぬんだろ?俺は」