「神谷先生?ちょっと……」



昼休みの職員室。


午後からの授業の準備をしていると、校長に呼ばれた。



「はい」



校長について行く。


入った部屋は校長室。


何で校長に呼ばれたのかわからない。


座るように促され、皮張りのソファーに座る。


テーブルを挟んだ向かいに校長も座った。



「神谷先生、困りますねぇ……」


「はい?」



何が困るのかよくわからない。


てか、主語をちゃんと言ってくれないと、いきなり困ると言われても……。



「今朝、転入してきた女子生徒を車に乗せて来たでしょ?あれ、生徒達の間で噂になってるらしくてねぇ……。神谷先生は若いし男前で、特に女子生徒からは人気がある。だからって、そういうことをされると学校側も困るわけで……」



校長は少し禿げ上がった額をハンカチで押さえながらそう言った。