それは、ふと。 本当にふと頭を過っただけのことだったの。 「空はどこまで続くんだろう」 朝見上げた高い空がどうしようもなく、気になった。 「…よいしょっ」 家のすぐ横に生えている樹をつたって屋根の上に登った。 下を覗くと暗くてよく見えないけれど、結構な高さ。 ……うん。我ながらよく登った! 自分の身体能力に感心しながら、瓦の上をそろそろと歩く。