重なった唇が離れると、



呆然とただ俺を見つめる澤村がいた。



俺の気持ちが伝わったのか、伝わらなかったのか。



その表情だけでは、分かりづらい。



ここが学校じゃなければ、伝わるまでキスするけど。



職場でもある学校で、生徒に手を出すなんて、



俺はもうこの時点で、教師としては最低だよな……なんて、



自分自身を振り返ってはみるけど、別にいい。



これでいい。この俺のほうがきっと……。



ここまで誰からも好かれる、真面目で明るい教師を完璧に演じてきたけど、



それも今日で終わりってやつだけどな。