裕美は、あの日以来学校には来なくなった。


ケンジが受験に行く日も、合格発表の日も裕美は現れなかった。



ケンジたちの通う学校では、三年の三学期は受験に専念するために、登校は任意になる。


そのため、学校に行っても教室には十数人しか来ておらず、裕美がいないことに違和感を感じた級友はいないようであった。




そんな中、ケンジはただ一人図書館に残って受験勉強を続けた。