―――…あれから数日が経ち、麗華の傷も段々と癒え始めていた頃。
「今日、同伴あるから先に行くよ」
客と同伴の約束を取り付けてしまった俺はいつもよりも早く出掛け様としていた。
「うん、分かった。行ってらっしゃーい」
いつもの様に笑顔を浮かべて見送る麗華に何故か少しの違和感を覚えた。
「…何かあった?」
「ううん、何もないよ。…気をつけてね」
強がりにも聞こえるその言葉にやはり何かあるんじゃないかと考えたが、これ以上確かめる気にはなれなかった。
ただの勘違いかもしれない…それに何より確かめるのが怖かった。
優しい笑顔を浮かべる麗華の言葉を俺は信じる事しか出来ない。
いや、ただ信じていたかったんだ…