教室じゅうがざわめくHR。


「どうだった?」


翔太が賢に近づく。


「ちょっ、のぞきこむな」

「いいじゃねぇかよ~後でわかることなんだからぁ」

「お前がいるとゆっくり成績も確認できねぇよ」


HRで先日のテストの成績が返ってきた。

いつもよりも騒がしい理由は、個人成績表だった。

個人情報うんぬんと騒がれる今日、成績順位が貼り出されるという風習は

少なくともうちの学校にはない。


「まぁ100位内はギリいけたぜ。っても97だけどな」

「すげっ!でも俺も133だぞ?平均65突破したからな」


バスケ部のノルマをパスした2人は盛り上がっていた。


「なぁ英治」

「んー」

「お前どうだったの?」

「俺はいいよ」

「隠すなよ」


賢が睨む。

そんなつもりはなかったので、黙って成績表ごと渡した。


「56位…」


言ったのは賢ではなく翔太だった。


「声出すなよ」

「あっ、わり」


賢は俺の成績表を凝視していた。

俺はシャツの長袖を10センチほど捲る。