みぞれが降る駅で、私は一人下り列車を待っている。

かじかんだ手を温めるために買ったホットココアは、飲まれることなく私の手を温めていた。

このココア。実は、まだ違う役割持っているのだ。


私を少し可愛く見せてくれないか、という重大な役割。


寒い駅のホームで、両手でココアを飲む女の子。

なんかいいシチュエーションでないだろうか。

私を客観的に見ることはできないが、可愛いという部類にはいらないだろう私も、可愛く、いや、それっぽく見えないものか。


まあ、いい。

プルタブを開けると、暖かそうな湯気が細く立ち上る。