――‥なんて、

いつも期待してる私が馬鹿なのかもしれない‥‥‥。



「貴様ッ!誰に剣を向けているのか分かっているのかッ?!」

「――‥あぁん? テメーこそ俺様にぶつかっといて生きて帰れると思うんじゃねぇぞ?」



目の前には、


シャラン!

シャラン!


鋭い音をたてて剣を抜き始める二人の男。


――と、その近くにある木の影に、いつもどおり身を隠す私。


こんなに平和な国を旅してるってのに、私の日常は見てのとおり騒がしくて仕方がない。


それもこれも全部、

目の前に居るこの男のせい。


銀色の狼のような容貌をした剣士。

瞳は薄い水色。

長身で大きな身体は逞しい。

その名前はウォルフ。

ミドルネームもラストネームも知らないこの男と私は、二人で目的のない旅をしている。




その話はまぁ置いといて‥。


今日中に今夜泊まる予定のキアシュへ着かなければならないのに、この調子だと今夜も野宿決定だ。


はぁ、と溜め息をついてると、



――ちゅどーん、ちゅどーん。



爆発音みたいな効果音が近づいてくる。