あれから1週間が過ぎた、曇り空の日だった。


その日は、電話の着信の音で目覚めた。


着信 上野 真衣(うえの まい)


「やだ! 真衣?」


真衣は東京の高校で毎日一緒に行動を共にしていた、仲良しグループのひとりだ。


「真衣ー?」


『陽妃? 久しぶりーっ』


久しぶりに聞いた声が懐かしくて、嬉しくて、あたしは布団から飛び出した。


『元気にやってるの? 陽妃ってばぜんぜん連絡くれないんだもん』


華奢でショートカットがとても良く似合う、ボーイッシュな友達だ。


とにかく嬉しくて、あたしのテンションは急上昇した。


「元気、元気! そっちこそ連絡くれなかったじゃん! 真衣は元気?」


『相変わらずだよ。あたしも香織も』


香織(かおり)も仲良しグループのひとりだ。


「そっかあ。こっちは暑いよー。毎日、毎日、とにかく暑くてさ」


『だろうねー! さっすが沖縄。けど、東京も負けてませんから!』


暑いのはもうたくさん、なんて気だるそうに真衣が笑う。


あたしも笑い返した。


「でもね、海が超きれーなんだあ。あとね、不思議な島なの。神様が居るとかってさ」


久しぶりに会話がスムーズに運んだこと。


久しぶりに友達と話せたこと。


それでテンションが上がり過ぎていたのかもしれない。


「あとね、隣の家に不思議な子がいてね、海斗っていう男の子なんだけど。まだ中3なのに、すごく大人っぽくて。きれいな顔してんの」