開口一番、私は謝罪した。



「ご、ごめんなさい!」


「いーえ。ほら早く乗りな」



泉さんは、いつもの笑顔で迎えてくれた。


校舎に入り教室に向かった私は鞄をひっつかみ裏門に行った。


そこには既に泉さんがいて、車に寄り掛かりながら煙草を吸っていた。


やっぱり恭二達とは違う。


その仕草に魅せられてしまうんだ。



「奈緒ちゃん偉いね」


「え?」



突然そんな声を運転席からかけられた私。


戸惑っているとバックミラー越しに泉さんと目があった。



「奈緒ちゃんて後部座席乗るよね」



あー、そういうことか。



「い、いつもの癖で……」


「癖?」


「家族で車に乗る時、いつも運転席の後ろなんです」


「そーなんだー」



ていうか……。



「何で偉いんですか?」


「奈緒ちゃん。男の車に乗る時は、そう簡単に助手席に乗っちゃ駄目だよ」


「……」


「約束」


「はい……」



何やら理解出来ないまま泉さんの住むマンションに着いた。