「おー!似合うじゃん!」



華の言葉を最初に女子は口々に黄色い声を上げた。


本日のコスプレ喫茶は浴衣喫茶になっていた。


もちろんメイドはいない。


ホストも仮装もない。


今日は男女揃って仲良く浴衣だ。



「へー、男子も浴衣似合うね」


「だろだろ?」



調子に乗って颯太君が寄ってきた。


近い、近い、近い。


こら、近いっつーの!



「てか神山の昨日と違くね?」


「うん。女子も気分転換にトレードしてみた」



私は昨日は緋色で、今日は深い藍色。



「てか、神山考えたなー。今日、全員浴衣にするなんて」



でしょ?ナイスだ自分。



「怒られるかなー?」


「んー、大丈夫だろ」



数秒、悩んだ彼はチラッと私に視線を移し言い切った。


は?



「何故に?」


「だって、お前まっちゃんの女だろ?」



はー?


私は馬鹿みたいに口を開けてしまった。



「おーい、口開いてんぞ?」


「颯太くん信じてんの?あの噂」


「え?違うの?」


「知らん」



まったく。


やんなっちゃうね。