12月になって,町のあちらこちらからワムの「ラスト クリスマス」が聞えて来る。


後何年彼女とクリスマスを過ごせるんだろう?


と一人呟きながら自分は無駄な時間を過ごしている事に苛立ち,どうにもしてあげれない無力さをのろった。


気が付けば,何時の間にか彼女の学校の前に着いていた。


校門のところで,彼女が出てくるまで待つのが何時の間にか日課になった僕は,寒さをこらえて柱の陰でジッと時間が流れて行くのを感じていた。


30分ほどで現れた彼女が僕を見つけて小走りに寄って来た。


一瞬ドキッとしたが大丈夫みたいだった。


悟られない様に


『何走って来とんの。

転んだら如何するん。

香織はとろいんやから。』


と,おどけて見せながら,たしなめた。


『だって、ずっと待っとったんやろ。

めちゃ寒いやんか,悪いと思って。』


『気にせんでかまわんで。

こっちが勝手に好きで待っとるんやから。

それより,元気そうやの。

でも寒いから早く帰ろう。

こっちが風邪引きそうやわ。』


『うちも風邪引きそうや。

風邪引いたら看病しに家まで来てくれるやろ?』


『アホ言うな!

何とかは風邪引かん言うやろ。

香織は大丈夫。

病気が怖がって逃げて行くよ。』


と言ったが,心の中ではもうドキドキしていた。


免疫力がかなり低下している彼女にとって、風邪を引くことも避けなければ行けないのが現状である。