あたしと日花梨先輩は門山スポーツを出て、学校のコートへと向かった。

 「誰もいないよね?」

 「いないです!」

あたしと先輩は顔を見合わせて、満面の笑みを浮かべた。

コートの鍵はあたしも日花梨先輩も持っていない。

フェンスをよじ登り、コートへと侵入した。

 「おねがいしまーっす!」

先輩はあたしよりも一足先にフェンスから飛び降り、ラケットケースから
ラケットを出した。

 「抜け駆けはズルイですよ!」

 「抜け駆けじゃないって!」

先輩がA地点にロブを送ってきた。

そうこなくっちゃ!

あたしもそれをロブで打ち返す。