先生と考えた第4の選択肢。
今の私にとっては、最後の生きる希望のようなものだった。
でもそれは、私だけじゃない…家族にとっても、先生にとっても、大きな事。
中途半端な気持ちや考えで、決めちゃいけない。

答えなんて、先生に言われた時点で決まってた。
だけど女の勘っていうのかな…。
なにかが私の中でひっかかったんだ。
私はもっと、自分自身の事も、先生の事も、周りの事も、知らなきゃいけないって。

「…で、どうした?」
「急にごめんなさい!えっと…私…。」

何が知りたかったのか、何を求めていたのか。
自分でも分からなかった。

「先生がどう思ってるのか知りたい…です。」

その後先生が言う台詞だって分かってた。
でも…先生の言葉で聞く必要があったの。
今の先生の色んな思いを、私は知る必要があったの。

「…。本当の事いったら、美佳ちゃんきっと泣くぞ?」

うん、分かってる。
でも泣かないよ?
先生の前では笑ってたいから。
先生の前では泣きたくないから。
先生の前では強くいるから。

「…正直今、しんどい。大学院の勉強して、塾の仕事もして、それだけでもう手一杯。なのにそこに君がいて…俺、いつ倒れたっておかしくないくらい。」

"やっぱり"って思った。
私は今、先生の重荷になってるんだって。

「でも知ってるだけにほっとけない。だから美佳ちゃんが、家来るっていうなら言った責任は持つ。」

責任。ねぇ…先生やっぱり"責任があるから"って側にいてくれてるの?

「責任だなんて…。」
「色んな重い話されて、でも迂闊に誰かに相談できない…そんな辛い気持ちが分かるか?」
「ですよね!本当、ごめんなさい。」

先生はきっと、いっぱい我慢してたんだよね。
必死に笑った。
じゃなきゃ泣いてしまいそうだったから。

先生の全てを…。
私は先生の何を知ってたんだろう。
いつも自分ばかりで、きっと私は先生の何も知れてなかった。
先生の辛さを、苦しさを、悲しさを、1つも知ってあげれてなかった。
気づいても、見てみぬフリしてたのかな…。
私どうしてもっと早くに、分かってあげれなかったんだろう。
どうして"先生"を見ようとしなかったんだろう。
先生の全てを知りたがってたはず…なのにね。