貴方の、手の温もり・・・

その手を放せないまま私は
立派な家の前に立つ。

門の中に置かれた
女の子用の自転車がひとつ

さっきの女の子

私は、さっきの状況を
思い出して立ち止まる。

貴方には、綺麗な奥さんと
可愛らしい娘さんがいる。

繋ぐ手を放す、私。

「どうした?」

「やっぱり、貴方の奥さんや
 娘さんに、ご迷惑でしょう
 
 私、他に住む場所を
 探します」

笑う、貴方の声・・・