バスは異様な盛り上がりを見せつつ、空港のパーキングエリアに到着する。

すでにバスの中は酒盛り真っ盛りで、与作兄ちゃんと弟の田吾作が、頭にネクタイを巻いて、なんか妙なクネクネダンスを踊ってる。

いいや、ほっとこ。

「じゃ!行くけん!」

私はみんなに敬礼して、急いでバスから飛び降りる。


「おお!由紀ちゃん!!がんばりんしゃいよ!」

「女は度胸たいね!」

「九州女の意地ば見せてきんしゃい!」


みんなの温かい声援に見送られピースサインで、空港を目指す。


「由紀!」


ふみねぇの大声に一旦立ち止まり、振り返る。



「しとめんしゃい!」



ふみねぇは親指を立て、私は彼女のエールに力強くコクンと頷く。


課長、待ってて下さい!


私は紐を口にくわえ、着物の振袖をたすきがけし直すと、大股でダッシュする。