「由紀ちゃんは、わしらの太陽たい。

由紀ちゃんの成長ば、ずっと楽しみに見届けてきたさ……」

村長さんが私達ひな壇に改めて向き直る。

すると、会場のおじいちゃんもおばあちゃんも、若い衆も一同にざっと席から立ち上がる。


「これからは……巧さん、由紀さん、幸せにならんばいかんばーーい!」


そして、村長さんが両手を広げると、みんなも両手を広げる。

「太っ腹町、名物~!祝福の一本締めじゃ~!お手ば、拝借!よぉ~おっ!!」


バァァァン!!!


一棟の建物が渾身のひと打ちにドォンと揺れる。

みんなの顔が、達成感に高揚している。

泣いたり……。

笑ったり……。

みんなみんな、私の成長をずっと見届けてくれていたんだ。

ひとりで大きくなったわけじゃないって言葉を、心から噛み締める。

課長も私もひな壇で立ったまま、みんなに向けて一礼する。


課長の神妙な横顔を見て、涙がこぼれる……。


課長、本当にいろんなことがありましたね。

最初はすっごく怖くて……。

でも、本当は温かくて、優しくて、大きい……。

私、課長を愛して、本当に良かった。


みんな、本当にありがとう。


「杉原由紀」は……。

ううん。

「奥田由紀」は、今日から、鬼ケ島の住人になります。



【完】