ピッ!

とか何とか言って、自動ドアが開いてしまう。

そして、エレベーターに乗っちゃったりなんかする。


もうダメじゃぁ~!

ここは、覚悟を決めなきゃだよ。

緊張にガッチガチになっている私の腰に、課長はスッと手を回し、私を引き寄せると軽くキスを落とす。

「部屋は散らかってるから、あまりジロジロ見るなよ」

課長の目がすごく嬉しそう……。

今まで見た課長の中でも、極上に優しい目だ。


ああ。

ダメだ~。

今さら、心の準備が出来てません、なんて……めっちゃ怖い、なんて、言えない……。



課長、こんなに微笑んでいるのに……。



ふーっと深く息を吐くと、ぐっと手に力をこめる。


女は度胸とか言うし!

頑張んなきゃだよ!


乙女、杉原。

行きます!