はっ!

いけない!!

課長からの電話、ブチ切りしちゃったよ。

早とちりもいいとこだ。

なにやっちゃってんのよ、私ってば。

「でも、こうちゃんのお相手があなたのようなかわいらしいお嬢さんで良かったわ」

えっ?!

可愛らしい?!

私のこと、だよね。

課長のお母様からの言葉にあたふたする。

「いえ。そんな」

あの鬼の母親とは思えないくらい、天使のようなお母様だぁ。

「こうちゃんはあの通り、ちょっと偏屈なところがあるからご苦労なさっているんじゃなくて?」

いや~。
さすがさすがお母様!
よく分かっていらっしゃる!
その通りですよ!
と、心の声で同意しするも、最近バッチリ身に付けた社交辞令を微笑んで返す。

「いえ。そんなことありません」

でも、本音を見透かしたかのように、お母様はふふっと天使のような微笑を浮かべる。

「相当、苦労なさっているようね。榊さんからも聞いているわ」