3月上旬。

その日は、3年間の高校生活に終わりを告げる日だった。

もうすぐ春だと言うのに、気温はまだ冬のままだ。

校門を出ると、光は振り返り、3年間通った校舎を見あげた。

「いろいろあったな…」

光は呟いた。

高校の3年間はいろいろあったけど、全部大切な思い出だ。

「川上」

聞き覚えのあるその声に視線を向けると、
「先生」

永田だった。

名前を呼ばれた永田は微笑むと、
「卒業おめでとう」
と、言った。

彼からの卒業祝いの言葉に、
「ありがとうございます」

光は微笑んでお礼を言った。