莉緒が言った。

「世界地図って、何でできてると思いますか?」

世界史準備室の壁に貼られている世界地図を見て言った時だった。

いきなりそんなことを聞いてきた彼女に、蒲生は首を傾げた。

「人々の悲しみです」

そう言った莉緒に、
「悲しみ?」

蒲生はわからなかった。

それは、一体どう言う意味なのだろう?

「人々の悲しみの欠片を1つ残らず繋いでいけば、1つの地図ができると思うんです」

そう言った莉緒の悲しそうな微笑みが忘れられなかった。

今思うと、彼女が言っていた言葉の意味がわかる。