ケータイ小説 野いちご

この想い伝わるまで

第4話 お兄ちゃんが笑った

「あ、でも、私、お金無い」

せっかくお兄ちゃんが昔のお兄ちゃんみたいになってくれたのに、これじゃ、またいつ優しくしてもらえるのか分からない。

がっくりと肩を落とす私に、「金なら俺あるよ」とお兄ちゃんがあっさりと返事を返す。

「ホント?!じゃ、おごってくれる、とか」
「今日はお前大活躍だったもんな。何でも好きなモン、おごってやるよ」
「わーーーい!!」

乗り込んだバスの中で私の心はピクニック気分。

それから、二俣川駅のホームの売店でせっせとお菓子とかジュースを買い込む。

「お前……本当にそれ、全部食えんのか?」

両手いっぱいに持ったお菓子を指差しお兄ちゃんが呆れたように笑う。

相模大野に出て、ロマンスカーに乗ると、藤沢から各停に乗り換え、鵠沼海岸を目指す。

制服を着ているから、みんなに見られているような気がしてドキドキしたけど、不思議……

お兄ちゃんが一緒だと平気なんだ。

「良くみんなで海水浴に来たよね」

昔みたいにお兄ちゃんの腕に手を回す。

一瞬、お兄ちゃんの歩みが止まったけど、前みたいに振り解くことはされなくて、ほっとして、次の瞬間、頬が緩んだ。

しかも、その手を許してくれたのか、お兄ちゃんはそのまま歩き始めた。

凄く嬉しいっっ!!

まるで、昔に戻ったみたいだ!!

お兄ちゃんの腕にじゃれついた。

「よだれ、つけるなよ」
「よだれなんか出してない!」

お兄ちゃんが声を出して笑った。

何年振りだろう。

私の目の前で笑ってくれた。

一気にテンションがハイになる。

お兄ちゃんが凄く優しい。

それだけで、もう、泣きそうになる。



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