私も着替えなくちゃ。

ん?
着替える??

私はさぁ~っと真っ青になる。

私、昨日、このバスローブに着替えた記憶が無い。

そぉ~っと服の中も見てみる。

ブラもショーツも付けてない……

そこにお兄ちゃんが買い物袋を提げて帰って来た。

「起きてて大丈夫なのか?」
「う、うん。あの、お兄ちゃんがその……私の、これ、着替えさせたの?」
「え?あ、ああ。お前、意識無かったし、びしょ濡れだったから」

がぁぁぁぁん。
ショックでもう寝込みそうになる。

そんな私の頭をお兄ちゃんの指が優しくコツンと小突く。

「ウソだよ。途中までやったけど、さすがにやばいと思って、受付のおばさんにお願いした」

と、途中ってどこまで?!
どこまで着替えさせたの??

そっちの方が断然気になった。

でも、お兄ちゃんはさっさとお弁当をテーブルに広げる。

まさかこのちっちゃな胸も見られちゃったの?
それに……

そんなショックな私の目の前に、お兄ちゃんが牛乳をデンと置く。

「ま、これでも飲んで大きくしな。それでもダメなら彼氏に揉んでもらえ」

お、お、お、お兄ちゃんなんて大嫌いだ!

クスクス笑いながらからかうお兄ちゃんの顔に、昨日の悲しそうな笑顔はやっぱり夢だったんだってほっとしつつも、やっぱり見られたんだってショックに気持ちが塞ぎ込む。

「冗談だって。何にも見てないよ。俺は上着を脱がせただけで、後は事情を説明したら、おばさんに追い出されたよ」
「本当?」
「本当に、本当。だから安心して食えよ」

お兄ちゃんの言葉に一気に食欲が甦る。

でもお兄ちゃんの私をじっと見る目に気がついて、何だかモソモソ食べてしまう。

「食ったら帰るぞ」

お兄ちゃんのいつもの声に勇気づけられて「うん!」と元気に答えを返した。