「………。」 麗らかな春の陽射しが眩しくて 真白雪兎(マシロ ユキト)は零れそうに大きな目をぎゅっと閉じる。 背中にまでかかる柔らかそうな色素の薄い髪が、風にふんわり揺れている。 小さく華奢な体は強い力を入れれば、儚く散ってしまいそうだ。 満開の桜の木の下にたたずむ雪兎を、誰も彼もが振り向いて…魂を抜かれたように見惚れていた。