アジトを再建して、しばらく経ったが、特に動きはない。
場所は敵には知れていないようだ。
やっと違う土地になれて生き生きとしている仲間たちをみて、ほっとする。
いつもは適宜移動しているのだが、この間のような奇襲は初めてだった。
みんな、トラウマになっていなければいいのだが…。
きゃっきゃと走り回る子ども達をみて、架妥は本気で安心する。
あの年頃に経験した生々しい出来事は鮮明に記憶に残る。
架妥自信、いつかも忘れたくらい遠い昔なのに、夜なのに昼と見紛うくらいに赤く燃え盛った戦火を覚えている。
今でも火を見ると、身体が竦むくらいに恐れている。
「架妥、食事の時間だぞ。」
頭に布を巻いて、せっせと料理に励んでいたらしい呉壽が呼びに来た。
さっきまで走り回っていた子どもは奇声を上げて、すでに飯台に突進していた。
「あ、あぁ。
行く。」
一瞬、思考が停止していた架妥は一拍遅れて手を上げる。
呉壽はにっこり笑って、先に歩いていった。
ふぅ、と息を整えてから、架妥も歩き出した。
ふわふわといい香りが漂ってきて、架妥の食欲を煽る。
呉壽は図体のわりに料理が上手いのでなんだか悔しい。
…どーせあたしは女の子らしくないよ。