中世ヨーロッパ。
 日本が初めて農民が一揆を起こした室町の時代を生きるとき。
 フランスとイングランドは、長い長い戦いを繰り広げていた。

 後に『百年戦争』と呼ばれる戦いは、両国の人々が疲弊し、家族を奪われ、住んでいた土地を焼き払われ、悲しみに嘆き、心身ともに負った傷はいやされることはなく、誰もがこの戦争に終止符を打たれることを望んでいた。



 ある時、ドンレミ村という小さな村に、一人の少女がいた。
名はジャンヌ・ダルク。
 農家に生まれ育った少女は、父の仕事を手伝う、ごく普通の勤勉な少女だった。



そんなある日、彼女は神の神託を受ける。



 始めは途切れ途切れに、しかし時が経つにつれてその声ははっきりと聞こえるようになった。






「オルレアンを解放し、シャルル王太子をフランス王に戴冠せよ」




 かくして、小さな少女はフランスを救うべく立ち上がったのである。