もう何も考えなかった。

今は、聖が欲しい。

聖しかいらない。

聖に溺れたい。

聖に愛してることを告げたい。

「――聖…」

僕は彼女の名前を呼ぶと、小さな唇を奪った。

触れるだけじゃ物足りなくて、深く奪った。

角度を変えて、何度も何度も聖の唇を奪った。

聖がこんなキスを好むかどうかはわからないけれど、僕は本能に従うままに何度も彼女とキスをした。

勢いよく流れているシャワーが、僕と聖の躰を打っていた。

買ったばかりのスーツが濡れることなんて、もうどうでもよかった。