僕が彼女を拾ったのは、10年前のクリスマスイブのことだった。

骨の芯まで凍りそうなくらいの寒い夜の出来事だった。


「――寒ッ…」

イルミネーションが輝く街中で見かけるのは、カップルばかりである。

仕事帰りの僕は、周りのカップルを横目で通り見ながら家路を急いでいた。

早く家に帰ろう。

部屋を温めて、何か温かいものを食べて、風呂を温めて、早く寝よう。

そんなことを考えながら急いでいた時だった。

ドンッ!

何かにぶつかった。

「――あ、すみま…」

謝ろうとした僕だったけれど、視線がそこで止まった。