ハネの毒から守る薬を完成させて外へ出たら、そこは私の記憶に残る景色とは異なっていた。



もっと白く、ハネに埋め尽くされた世界。


もしかしたら、もうユウヤも死んでしまっているのかもしれない。


怖くなって、一刻も早くユウヤの無事を確認したくて、白の世界に躊躇いなく足を踏み入れた。




せっかく完成したのに、この世はもう終わってしまったのだろうか。


いろんなものを犠牲にして完成させたこの薬は、既に意味を成さないのだろうか。




考えると、気分が悪くなってくる。


私はどれほどの時間、研究所に篭もっていたのだろう。



世界のことも見えずに、“世界を救う”などほざいて、こんな馬鹿げた最後はない。


馬鹿馬鹿しくて、泣けてくる。




やがて道端に倒れている人影が見えた。


ユウヤだ。