ネコ専務は教養のあるネコなので、バイ
オリンが得意である。

プロ並みとまではいかないが、かなりの
腕前で、会社で何かイベントがある度に
頼まれて、バッハなどを聴かせているの
だった。

ある時、ネコ専務は会社の音楽部門の総
責任者に就くことになり、

日本各地の音楽祭に協賛したり、会社
自身で音楽会を開いたりして、日本の
音楽文化を振興しようということに
なった。

その一環として、ネコ専務もあちこちで
演奏してみせていたのだが、そのうち
「バイオリンを弾く専務」として注目
され始め、

だんだん人気が高まっていったため、
ついにネコ専務はCDデビューすることに
決まった!

りりしくタキシードできめたネコ専務の
ジャケットも出来、めでたくCDは発売
された。

その後しばらくネコ専務は、各地でサイ
ン会や講演に忙しく、CD自体はそれほど
売れなかったものの、ネコ専務はしごく
大満足であった。

そして結構ファンレターも届いたのだが、
しかしそこに、1つ気になる手紙が含ま
れていたのである。