ところ変わって、今。

「イッチー、僕は母さんのことを恋しいと思ったことはないよ」

「そうでしょうね。……それより、あの変態からスケジュール帳を取り返すことだけを考えなさい」

取り返す方法なんて……ないに等しい。

工藤は巨大化した利川さんの手の上にいるわけだし。

となると、まずは利川さんを言い聞かせなくちゃいけないのか?

……あー、考えるのってめんどくせー。

「なぁ、工藤。どうやったらおりてきてくれんの?」

「んー?俺はおりねぇよ?……そうだな、市村が俺のものになってくれるなら……いいぜ」

……残念だけど。

それは僕が許さない。

だって、イッチーまで僕の目の前から消えてしまうのは、嫌だから。

「イッチー」

「どうしたの?」

「僕、イッチーのことは好きじゃない。けど、工藤は嫌いだから手伝うよ。イッチーのスケジュール帳探し」

「正確には、『イッチーのスケジュール帳を取り返せ☆大作戦☆』よ」

その☆に意味はあるのだろうか。