ザー…

朝まであんなに晴れていたのに、突然の雨が地面を叩く。


外にいた子供達が、「キャー」と騒ぎながら急いで家に帰る音。それとは対照的に少し焦った足音が、だんだん大きくなる。

ーバンッ

大きな音がしてドアが開いた。


「うっわ、びっちょびちょ!!やっぱ、エルの言う通りだった」

「だから、雨降るって言ったでしょ?」

「さすがオレのエルちゃん」

「あんたのモノになった覚えないんだけど」

エルはため息をついた。

あれから10年。
エルは15歳になっていた。
肩まで伸ばした茶色い髪を、指でくるくるといじりながら、ソファに座り直す。

「ちぇっ、エルは冷たいな」

今ぼやいた少年はショウ。エルと同じ15歳でエルがこの村にやって来たときに、同じく連れて来られていた。

エルと同じ青い瞳を持ち、少し長めの黒い髪からは想像が出来ないくらい、活発な少年である。