翌日、明け方まで剛介と口論していた剛志は、重い体を引きずって家を出た。


乃里子はどんな顔で自分を見るのだろう。


そう思っただけで胸が苦しい。


帰り際の乃里子はいつもと様子が違った。


怒っているのか、それとも。


剛志は静かな住宅街に、大きなため息を落とした。


その時、剛志のポケットの中で携帯が小さく震えた。


『今日は用があるから行きません。
部室、自由に使って良いから。』


乃里子からのメールだった。


行きませんが部室にかかっているのか、学校にかかっているのか。


剛志は携帯をポケットに戻すと、足早に学校へ向かった。