「乃里子!
また『放課後姫』が出たって!?」


朝から元気な友人がドタバタと駆け寄ってきた。


「おはよう、みーちゃん」


笹木未来(ささきみく)


彼女は中学からの親友で、いつも笑顔、いつも元気な可愛い子。


「あっ、おはよう♪
…じゃなくて!」


未来は隣に座ると、身を乗り出しながら乃里子を見た。


「で、出たの?出てないの?」


未来の目が獲物を捕らえるライオンの様に輝いている。


「…出たみたいだね。」


乃里子が言うと、未来は満面の笑みを浮かべた。


「やっぱり出たんだ♪」


未来の楽しそうな声に引き寄せられたのか、少しずつクラスメイトが集まってきた。


「何の話?」


「『放課後姫』だってさ♪」


「私見たことあるよ♪」


「えー!?
いいなぁ…私一度も無いよ」


一気に騒がしくなる教室。


乃里子は気づかれないように、静かにため息をついた。