「どうやら、作戦は成功したようだな」

 ブンガクはゆっくりと片目を開けて呟いた。

「そうね」

 チャオクーンは艦隊の戦闘情報リンクを支援しつつ、答えた。

 艦隊は善戦しているとは言い難かった。

 既に、防衛ラインをザカーエッジに突破され、追撃も出来ずにいた。

 情報リンクでは既に敗戦の色が濃い。

 所詮、傭兵会社の艦隊である。正規軍と違って、敗色に傾けば志気は落ちる一方だ。

 それにしても、まさかこんな手があっさりと決まるとは、チャオクーンも信じられなかった。

「まあ、情報空間の防御が完璧なら、リアルから攻めちまえばいいだけの話だからな」

 300メートル級特務工作艦〈クーロン〉は、太く寸胴の巨大魚を思わせる黒い船体の鱗状装甲の隙間からシステム融合用の触手を伸ばし、全長10メートル程の敵探査プローブを抱え込んでいた。