女子バスケの1年生部員は、
先輩達よりも先に、体育館に行っていなければならなかった。


急ぎ足で、体育館への渡り廊下に向かっているところで、

向うから、横一列でダラダラと歩く、男子軍団とはち合わせた。


「お!バスケ部の将来は、君達にかかっている〜頑張りたまえ!なんつって〜」

恭一だ……

その声の方向を睨みつけ

「るっさい!」とだけ言い放ち

堂々と真ん中を歩く私を、
他の男子は、道を開けながら、

「おっと、コエ〜な!」
「え、誰?」

と、口々に言っているのがわかった。


「だろ〜、アレさ〜、俺の…」

恭一が何を言ったのか…
最後までは聞き取れなかったが、
どうせ馬鹿にしたに違いない。


夏休みが近づく頃には、
学校での緊張感も解け、
皆、馴染んできているようだった。

そうなると、
ホレたハレたの話が、浮上しはじめ、

遂に隆志が、
愛の告白をされたとかなんだとか。


その子の思いは通じなかったようだが、

先を越された鈴ちゃんは、
隆志が受け入れなかった、その理由を考えていた。

相当、真剣だ。


そんなある体育の時間、
私は、クラスメイトから
隆志のことで質問された。

どうも、隆志に告白したという子に代わって
偵察しているようだ。