秋、ありがとう。 涼くん、ごめんなさい。 ありがとう、ごめんなさい。 私は誰に感謝して、誰に謝罪してるんだろう…… 自分の名前を呼び続ける声に応えるようにゆっくりと目を開く。 そこには心配そうな顔をした秋がいた。 「春、大丈夫?」 「あ…、き……?うぅ……」 そして意識の覚醒に伴って回復する五感。 強い鉄錆の匂いが鼻をついた。