ここ“ネリスの里”には500年も前から魔女が住んでいると言われている。

この魔女は大層わがままであったそうだ。誰も魔女を見た事なんて一度も無いし、魔女を見に森の中に入って行った者は誰一人として帰って来ないので今となっては誰も近づかない。

このように魔女に関する事なんか少しも分かっていない。秘密だらけな訳さ。…っと村の情報屋は言った。

だが、こんな事で引き下がる青年ではなかった。青年の名はアリュロ・クリスティン、職業は魔女の調査とその生態をレポートにして学者に渡す事である。彼は言った。


「こっちだって生活が掛かってんだ。ちょっと位の危険なんざぁ知った事かっ!!」

十七、八歳の青年の言うような言葉ではなかったから情報屋は、少し驚いた顔になったがすぐ商売人の顔に戻りゆっくりと手を差し出した。