結婚後はじめて迎えた休日、持ち帰っていた仕事を書斎でこなしながらも。



時折リビングを覗きに向かえば、キャーキャーと楽しそうな声で満ちていた…。




「亜実ー、ゆっくり混ぜてね」


「うん、分かったぁ」


「そうそう!亜実は上手だねぇ」


「えへへー」


エプロン姿の真咲と亜実ちゃんが、ティータイム用のお菓子を作っていて。



根っからのシスコンと豪語する、真咲の表情は緩みっぱなしという具合だ。



「んー…、っしょ」


ボウルの中の生地を一生懸命に混ぜる亜実ちゃんは、確かに文句なく可愛いし。



すっかりその一員に加わっている俺は、光景をクスクス笑いながら近づいた。



「亜実ちゃん、なに作ってるの?」


ダイニングテーブルで奮闘する亜実ちゃんに合わせ、屈んで尋ねてみれば。



「えーとね…、ぶ、ぶら…」


「ふふっ、ブラウニーよ」


お菓子の名前を覚えられなかったのか、隣で見守っていた真咲に視線を送り。



彼女もまたクスクスと笑いながら、可愛い妹へ優しい眼差しを向けていた。