ここは東の青龍様のいらっしゃる龍族村だ。
明日、青龍様の誕生式典がある。
城の中は、龍族の方々が料理の準備や飾り付けに大忙し。
そんな中、一人の男性が正装をしている。
青龍様ご本人だ。
「今から天帝にご挨拶申して来る。そのまま準備を進めておいてくれ」
「はっ!」
皆が一斉に礼をした。
青龍様は、天帝に明日の式典の為に会いに行く。
我等龍族は、四神の中でも一番天帝と親しい。
青龍様は天帝のお気に入りなのだ。
朱雀、白虎、玄武はただ管理しているに過ぎないと以前、天帝がおっしゃっていたのを覚えている。
天帝は、我等龍族の味方となって下さっている。
それは、四神を始め、皆が知っていること。
だから、龍族にはあまり争いが無いのだ。
争いがあるとしたら、こちらから仕掛けるときくらいだ。
そう、まさに明日。
青龍様の誕生式典の日。
年に一度の式典。
この日ばかりは、青龍様ご本人の力を世にしらしめるための儀式がある。
そのためだけの争い。
場がいきすぎないようにとの監視役に天帝が下界に降りてくる。
そのためのご挨拶に青龍が天帝のもとへと行かれる。

青龍様は水鏡の間へ向かわれた。
水鏡の間は、唯一天界へと繋がる道だ。
「行ってくる」
「いってらっしゃいませ」
水鏡の間の番人達が言った。
青龍は龍形をとって天界へと昇って行った。

−−−−−−‥‥

龍城では、長老方が指揮をとっていた。
「そこ、こっちへ」
「はい!」
「君、これを向こうへ」
「はい」
様々な声がする中、一人の男が浮かない顔をしていた。
龍・泰(ロン・タイ)である。
彼は、いつ、どんなときでも青龍の側にいた。
きっと天界へ行った青龍が心配なのだろう。
「碧・聖(アオ・セイ)様…」
アオ・セイとは、青龍の名前だ。
元々、青龍というのは、龍族の長に与えられる名であった。
青龍は、アオ・セイで4代目となる。
セイの兄、父、祖父である。
彼等は、アオの家系で青龍を継いでいる。
そんな彼等だからこそ、天帝との仲が他より良いのかもしれない。

−−−−−−‥

「こら、ロン・タイ、ほうけておらずに働きなさい」
「あ、はい、すみません」
ロン・タイがぼーっとしているのに気づいた長老が言う。
ロン・タイは、青龍の為に働いた。