――……。


翌日は約束通り冬馬兄ちゃんが学校まで送ってくれた。
本当は行きたくなかったけど…決着をつけなきゃ。

それから…麻実ちゃんとも話さなきゃ。



――あいつはやめといた方がいいよ。



麻実ちゃんは正しかった。
麻実ちゃんの方が良明くんのこと知ってるから…当然って言えば当然だよね。

だけど私は、良明くんのことを信じた…そしてこうなった。


「じゃあ、また」

「ん…夜に家行くね」


冬馬兄ちゃんと別れ、学校の中に入る。

良明くんとはいつ話そう?その前にまず、麻実ちゃんと話したいな…。


なんて考えていたら、良明くんと話す麻実ちゃんに遭遇した…。


「あ…」


ほとんど同時に気付いた私たち。
麻実ちゃんはちょっと苛立った顔。そして良明くんは、少し悲しそうな顔をした。


「美和、ちょっと」

「…はい」


麻実ちゃんはもう昨日のこと知ってるみたい。
良明くんが話したのかな?
とにかく…昨日のことを知って怒ってるのは確かだ。


…私と良明くんは麻実ちゃんに促され、あまり人の来ない廊下へとやって来た。


「良明、あんた何やってんの?
美和と付き合ってるんじゃないの?結局は遊び?」


…相変わらず麻実ちゃんは直球で、凄い迫力。
なんだか当事者は麻実ちゃんで私は立会人みたい。


「あのさ、二人で話したいんだけど」


そう言う良明くんを麻実ちゃんは睨みつける。それから私の方を見て、小さなため息をついた。


「美和に何かしたら殺す」


そんな言葉を残して麻実ちゃんは去っていった。


「するかよ、馬鹿」


もう居ない麻実ちゃんに向かって良明くんは言い、私を真っ直ぐに見た。