店内は私の予想通り、人で埋め尽くされていた。 「おーい、先生! 連れて来ましたよ」 余所見をしながら兄の後をついて行くと、 ボックス席で鳥辺野さんが待っていた。 その時にやっと、今日ここへ来られたのが、 彼のお陰なのだと妙に実感が湧いてきた。