~1年前~

じいちゃんは、もともと胃腸が悪かった。後で聞いた話だけど、胃ガンだったらしい。



ある日、僕が風呂から上がって、居間を覗いたとき、テレビを見ていたじいちゃんが、いきなり苦しみだした。

「お父さん!お父さん!」

悲鳴にも近いばあちゃんの声。

「速く!医者呼んで!」

緊迫した父さんの声。近くにいた母さんが、立ち尽くしている僕に気づき、2階の寝室に連れていった。

「どうしたの?」

妹の問いに母さんが手短に答える。