あっという間に時は過ぎて、あれよあれよという間に、一回戦目の当日がやってきた。


会場は我が家の道場。

それなりに広い道場ではあるけれど、今日はギャラリーが多いので、何だか狭く感じる。



「サク、頑張って!!」


「サクさん、ファイトです!!」


神竜組の組員たちに混じって、オハナとノブも応援に駆け付けてくれた。


それに。



「サク、死ぬ気でやれ。うちの道場の命運が懸かってるんだ」


「サクちゃんは我が家の大黒柱だからね」


「はいはい。…ったく、人の気も知らないで…」



ノーテンキなうちの両親も。


本当、娘の人生何だと思っているんだか。


ため息をついて、前を向くと、ハルの姿が目に入った。


逆ギレしてハルの部屋を出た日から、ハルとはまともに口を聞いていない。


今日のハルも、いつもと何も変わらないポーカーフェイスで、そんな様子を見るとみぞおちの辺りがズキリと痛んだ。